運動は血糖値を低下させる“即効薬”です

「血糖値が高い」「糖尿病」と診断されると、まず「食事の改善」と思い、「運動」は後回しにする方が多いようです。でも実はこれは大変もったいないこと。
 
糖尿病の方は、インスリンの分泌量が減ったり、インスリンの効き目が悪くなったりして、血糖値が高くなっています。
こう理解しているから、インスリンが血糖値を下げる「特効薬」と思い込んでしまうのですが、それは1つの手段に過ぎません。
「運動」することによって、インスリンの作用に関係なく、血糖値を下げることが可能なのです。
 
では、なぜ、運動がそれほどいいのでしょうか。
1章5ページでも解説しましたが、運動することによって、エネルギーが必要になった全身の筋肉細胞が、エネルギーを作り出すために体内にある糖を利用するからです。
 
少し詳しく言うと、筋肉が収縮する刺激によって、AMPキナーゼという物質が活性化し、「GLUT4(グルットフォー)」を細胞の外に出すように促して、糖を受け取るという仕組みになっています。
 
このように、運動は、血糖コントロールできる体質に改善する、効果的な方法と言えるのです。
 
ですから、インスリンが出にくくなっていたり、インスリンは出ていても効き目が低下したりしている人は、是非とも運動の習慣を身に付けてください。
 
もちろん、食生活の改善も必要ですが、両方いっぺんに着手するのは負担が大きいでしょう。
体質・生活改善はストレスにならないよう「無理なく、少しずつ」が基本です。そこで、効果が早く出やすい「運動」から始めることをお勧めします。
 
運動を避けている人は、「運動=ツライ、大変」というイメージがあるようです。
しかし、糖尿病改善のためには、体が悲鳴を上げるような激しい運動は必要ありません。
とは言え、1日の中である程度の時間をつくって実践する必要がありますから、そこは調整する努力が必要となります。
 
本書では、仕事や家事・育児で忙しい方のために、短時間で効率よく運動量を増やす工夫もご紹介しています。
是非、参考にしていただき、できる範囲から取り入れて、少しずつ運動量を増やしてみましょう。
 
最初は少し辛かったり、面倒だったりするかもしれませんが、継続は力なりと言う言葉がある通り、運動は続けることによって、確実にあなたの体に素晴らしい変化を起こします。
普段、まったく運動を意識していなかった人が、ちょっと意識して運動をすると、血糖値の変化が見られるでしょう。
 
その変化の喜びをバネに頑張って続けていくと、糖を取り込むのを邪魔していた脂肪細胞が減り、代わりに筋肉量が増えます。
こうなると、糖を取り込む場所が増えるのですから、ますます血糖値を下げるという運動の効果が現れやすくなる“好循環”が起こるのです。
 
運動は、「病気を治すために仕方なくやる」のではなく、「健康にいい体をつくるために積極的にやる」と意識転換をすることも大切です。
 
見た目もスリムに若々しくなり、血糖コントロールも思いのままにできれば、体も心も軽くなり、自信と活力に満ち溢れてくることでしょう。
そうした変化は、あなたの仕事や人間関係、その他いろいろな人生の場面に、良い変化をもたらすはずです。
 
また、適度に体を動かすことはリフレッシュ効果があり、ストレス解消にもつながります。
ストレスによる不眠や生活リズムの乱れは、血糖値を高める要因となりますから、運動で適度に疲労することで快眠できるようになれば、生活リズムと血糖値の改善につながり一石二鳥です。
 
三日坊主で終わらせないための長続きのコツは、「無理をしない」「楽しむ工夫をすること」。
まったく運動の習慣がのなかった人が、10分でも散歩できたら大したものです。
通勤電車で座るのをやめて、立つようにするだけでも違います。ノウハウのご紹介ですから、血糖値を下げるためには、これくらいの時間や量をするのが理想という基準で書いてはいます。
しかし、その通り実践できないからと言って、まったく意味がないわけではありません。
 
 毎日、同じ分量の運動をこなす必要はありません。
義務のようになっては、嫌になってストレスとなってしまいます。
 
むしろ、体調を見ながら、「今日はやめておこう」「今日は、調子がいいから頑張ろう」と、自分でコントロールできるようになることが重要です。
そのためには、最初から飛ばしすぎず、徐々に運動量を増やしていくと良いでしょう。
 
「運動は体にいい」という意識を持って、できる範囲でコツコツ実践していけば、確実に体は望ましい方向へ変わっていきます。
前向きに自分のやる気をうまくコントロールしながら、「運動」の習慣を身に付けていってください。